自分の経験を仕事にする方法──あなたの人生ストーリーは、もう”売れる種”を抱えている
「起業してみたいけれど、私には、売れるものがない」。
——その言葉を、私は何度も、聞いてきました。そして、かつての私自身も、そう思っていました。
でも、いま、肩を並べて言えることがあります。
あなたが歩いてきた人生そのものが、もう”売れる種”を抱えているのだと。
それを、これから、私の回り道の話とともにお伝えさせてください。
私も、”稼いだ額”を追いかけて、回り道をした
起業したばかりのころの私は、自分の価値を、たった一つのものさしで測っていました。
「いくら稼いだか」。それが、そのまま自分の評価だと信じていたのです。
私は起業当初、Web制作の請負でした。
ありがたいことに、注文は、たくさん来ました。依頼をこなせば、お金は入ってくる。数字は伸びる。——ここまでは、よかったのです。
けれど、気づけば私は、休みのない毎日を走っていました。
ぜんぶ、自分の手で回していたから、案件が増えるほど、体が空かなくなる。
いつのまにか、”一人ブラック企業”になっていたのです。このやり方では、続けられない——そう、体のほうが先に、悲鳴をあげていました。
まわりの人と自分を比べては、「あの人はもっとできている」と落ち込む。
認められたい、という気持ちばかりが空回りして、稼いでいるはずなのに、じわじわと削れていく。
お金は手の中にあるのに、心のほうは、空っぽでした。
——あのころの疲れは、私にも、いまも思い出せます。だから、もし似た場所にいる人がいたら、責めたい気持ちなんて、まったくありません。私も、ただ、苦しかったのです。
点と点が、線になった——あの気づき
転機は静かにやってきました。どうも苦しいと思って、ビジネスの師匠に相談したとき、”心を学ぶこと”を伝えていただきました。
なんのことか、まったくわからなかった。ビジネスを今を超えてより加速させたいのに、なんで心を学ぶの? ── ぜんぜん繋がりませんでした。
けれど、あとになって分かります。
その”心を学ぶ”がくれたのは、売り方のノウハウではなく、“心の構造”への理解でした。
人の心は「自(じ)=本質のわたし」と「己(こ)=結果や評価で移ろう自我」に分けられる──そう教わりました。(”自と己”の詳しくは、教科書のこの章に譲ります。
▸ 自己肯定感が低くても起業していい|「自」と「己」を分ける)
そして、いちばん驚いたのはここ。
今この現象が起きているのは、私の”心”だった、ということ。
数字ばかりを追いかけていたけれど、数字は”結果”にすぎなかった。
消耗している現実は、ぜんぶ、私の”心”(内側)から起きていた──。
えーーー、嘘みたい。最初は、そう思いました。
ある日、ふと気づいたのです。
この消耗する働き方を、誰かに強いられたわけではなく、私が自分で選んでいたのだ、と。
「稼いだ額=私の価値」という物語も、比べて落ち込む癖も、全部、自分が握りしめていたものでした。
それに気づいてから、私は問いを、もういちど自分の内側へ戻しました。
「本当は、何のために働きたいんだっけ」。使命の軸へ、そっと帰っていったのです。
そのとき、はじめて線がつながりました。
回り道も、劣等感も、Web制作で稼いだ日々も、心の構造を学んだことも——ばらばらの点だと思っていたものが、ぜんぶ、いまの私の”渡せるもの”になっていた。
私がいちばん長く向き合ってきたのは、ほかでもない、私自身の経験でした。それが、使命給起業という形になっていったのです。
この「種は、いちばん長くやってきたことの中にある」という考えの”幹”は、教科書のこちらに書きました。
▸ 起業したいけど売るものがない|種は”いちばん長くやってきたこと”にある
あなたの経験は、”事実”のままでは種にならない
ここで、大事なことをひとつ。
過去を振り返るとき、多くの場合、私たちは「出来事」だけを思い出して、終わってしまいます。
——でも、種になるのは、出来事そのものではありません。
たとえば、「幼少期のあの日、母から言われた、あの一言」。
そこで思い出してほしいのは、その出来事から、自分が何を感じたかのほうです。
このとき、「でも、母も大変だったから」「仕方がなかったんだ」という解釈は、いったん脇に置いてください。
他人の視点で上書きすると、あなたの本当の気持ちが、見えなくなってしまうから。
大切なのは、あのとき、私はどうだったのか。それだけです。
「あのとき、こう感じた。だから、いまの私はこう生きている」——そう、感じたことをつなげたとき、はじめて、人に渡せる種になります。
📖 用語解説 「体験を、経験に昇華させる」とは
体験(=事実)は、「何が起きたか」。起こった出来事の記録です。それだけでは、まだ誰の役にも立ちません。
経験(=意味)は、「そこから何を感じ、何を受け取ったか」。
体験に、自分だけの気づきが結びついたとき、それは”経験”になります。——人が心を寄せるのは、事実の羅列ではなく、この意味のほうです。
図解:あなたの人生を、棚卸ししてみる
では、どこを掘ればいいのか。
特別な出来事を、探さなくて大丈夫です。あなたが確かに生きてきた、この順番をたどるだけでいい。
事実を、経験に変えていく
| 時期 | 事実(何が起きたか) | 気づき(どう感じたか) |
|---|---|---|
| 幼少期 | 起こった出来事・言われた一言 | そのとき、私はどう感じた? |
| 小・中学校 | 夢中になったこと・傷ついたこと | そこから何を大事にした? |
| 高校・大学 | 選んだ道・逃げた場面 | なぜ、それを選んだ? |
| 社会人 | 続けた仕事・つまずいた経験 | 何を乗り越え、何を得た? |
※ 左の列だけで止めない。右の列まで書いて、はじめて”種”になります
この右の列こそが、あなたにしか語れないもの。
まずは、書き出して、並べてみること。それが最初の一歩です。
自分に向き合う時間は、正直、しんどいです。だから、途中で手を止めたくなる。
その気持ちも、痛いほど分かります。
それでも——ここを一緒にくぐり抜けた先に、あなたの輝きが待っています。私は、それを何度も、隣で見てきました。言葉にならないくらい、尊い瞬間です。
今日の、具体的な一歩
【今日の一歩】
紙でも、スマホのメモでもかまいません。
まずは、一つの時期だけでいいので、こう書き出してみてください。
① その時期に起きた出来事を、ひとつ。(事実)
② そのとき、私はどう感じたか。(気づき)
②は、他人の事情で上書きせず、「私は、どうだったか」だけを、正直に。
——その一行が、あなたの”売れる種”の、最初のひとつです。
あなたには、売れるものがない——のではありません。
まだ、掘り起こしていないだけ。
——あなたが生きてきた時間は、一日たりとも、無駄ではありませんでした。その全部が、これから、誰かの光になっていきます。
誰かのお役に立てますように。
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